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渡りロボ
北半球のとある都市。痛いほどにぎらぎらと照り付ける太陽の下、山のように巨大なビル群の谷間に、長い行列ができていた。行列はほとんど動くことなく、少しずつ、少しずつ、地下に飲み込まれていく。
「……やっと地下に入れた。こう暑くちゃ頭がどうかしてしまうよ」
「まったく、毎回毎回同じことばかり繰り返していて、少しぐらい改善の努力をしてほしいものだ」
「まあ、このシステムがなかった昔に比べりゃ良くなったんだろうが……」
「でもずっと昔は今よりかなり涼しかったと聞くよ。地球がこんなになったのも、やつらのせいらしい」
「本当に傲慢だったんだな、やつらは……」
「おっ、やっとだ。でもここからがまた面倒なんだよなあ……」
「なあに、少しぐらいごまかしても大丈夫だぞ。俺なんかもう3年も手を抜いてる」
「まったく……、なんの自慢にもならんぞ。どうなっても知らんからな」
「じゃあ、俺は一足先に向こうを満喫させてもらうよ」
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