夏鍋

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夏鍋

茹だるような暑さの猛暑の日。 扇風機の首振りに合わせて前後運動を繰り返す俺の下に届いたのは、スマートフォンから一通の便り。 「夏鍋しようぜ!」 我らが鍋奉行からの招待状である。 ・・・ 「ルール説明をする!」 四畳半の狭い空間に四人の男がテーブルを囲むように軒を成すと、開会の挨拶もそこそこに家主の男は夏鍋とやらのルール説明を始めたが、この男が何を考えているのかはこの部屋を見れば一目瞭然で、もちろん夏にぴったりの涼しげな鍋の催しではない。 男の言う夏鍋とは極暑のなかでどれだけ熱々の、そして激辛の鍋を食い進めることができるかを競い合う競技であり、たった一人の勝者を除いて、敗者は須らく鍋にかかった費用を折半しなくはならないとのことだった。 男は「詳しい詳細はこれを読め!」と、手作りのルールブックを人数分手渡してきたが、 「うわっ。注意書きに『このルールブックも折半の対象である』って書いてあるぞ・・・」 「ほんとだ!こいつ用紙代も請求する気かよ・・・」 書いてあることは筆者がどれだけ金汚い人間であるかを示しているだけで、それ以外には特段気になることは無かった。     
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