第1章

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Inheritance in the Carnation, Dianthus Caryophyllus. IV. the Chemistry of Flower Color Variation, I T. A. GEISSMAN and GUSTAV A. L. MEHLQUIST 「これ、カーネーションの花色についてよく調べられている文献。1947年のものだけど、とてもいい論文だよ」 僕は論文を斜め読みする。 「すごい! よくここまでカーネションの花色について調べられていますね」 「ただ、この時代はまだ、黄色色素のカルコンが解らなかったんですね。ダリアの花にあるカルコンと似ている、というところまで来ていますが」 「そう。今はForkmannの研究や日本でのカーネーションの花色に関する基礎的研究で、黄色色素がカルコンであることが解っている」 「確か、僕の記憶では、カーネーションの黄色色素は、カルコン2’グルコシド、すなわち、カルコンの2’の位置に糖がついているものだったと思う」 「そうなんですか」 「あと、赤色色素のペラルゴニジンは、ペラルゴニジン3マリルグルコシド。ペラルゴニジンというアントシアニジンの3の位置に糖がついていて、さらにリンゴ酸がついている」 「リンゴ酸を英語でいうとマリル」 「おはようございます」 「恵ちゃんが温室から帰ってきた」 「恵ちゃん。先生が面白い文献を見せてくれたよ」 「読んでみる」 「うん」 恵ちゃんはコーヒーを入れ、論文を読み始める。     
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