第1章

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「Y遺伝子が優勢なのに、黄色花、Yiaではアントシアニンが生成されないじゃん。矛盾してるよ」 「分かった。まず、シンプルな物事から考えよう」 「解ったのは、黄色の遺伝子型がYia、色素の名前は、カルコン2’グルコシド」 「さて、オレンジ色の秘密を探るのはここからだね」 「どうして? ここから? 黄色色素も解ったじゃん」 「大樹は物事決めつけるの早すぎ。どうして、赤色色素と黄色色素が共存する?」 「この論文のどこにもオレンジ、書いてないよ」 「深入りはよそう」 しばらくして大樹が呟く。 「深入りはよそう」 恵ちゃんが僕の目を見て可愛い声で繰り返す。 クリクリした目で眩しく微笑む。 それは、“やるわよ”と言う合図。
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