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ケーキを食べ終えた有田先生がアドバイスをくれる。
「まあ、頭でゴタゴタ考えていないで、先ずは正のおじさんのところからサンプルを頂いて来てみよう」
「そうそう」
大樹がふんぞり返り偉そうな口調で話す。
「いつにする?」
有田先生がこめかみをさすりながら皆に問いかける。
「明日にしよう、明日」
大樹がまた仕切る。
「分かった、僕からおじさんに連絡しておくね。最初は皆で行こう。驚くよ、育種ハウスなんか見たら」
「僕も行ってもいいかな?」
有田先生も興味があるらしい。
「いいですよ」
僕は先生にも見て欲しい。
「大樹くんと義雄くん、卒業研究の方は大丈夫?」
有田先生が二人に問いかける。
「僕は今日、またバラの花粉、電子顕微鏡を覗きます。写真を撮っておしまいの作業ですから」
「系統分類は、100位の花粉の写真が出揃った頃から始めます」
「僕は、カーネーションとかすみ草のプロトプラストを取ってありますから、細胞融合してみます」
「そう言えば、義雄くん面白い造語作っていたよね。カスミネーションだっけ?」
「そう。かすみ草の形態に、小さなカーネーションのような色とりどりの花が付く。新植物ができないかなと」
「いいかい、義雄くん」
「その細胞融合を卒論のテーマの主に置いちゃダメだよ。失敗の要素が大きすぎる」
「先生、分かってますよ。論文は組織培養による植物のウイルスフリー化を中心にして、細胞融合はチャレンジした、と言うストーリーにします」
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