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第7話
「さて、ここが育種用ハウス」
おじさんが、少し嫌なきしむ音のするハウスのドアを開ける。
恵ちゃんはその音を聞いて、ぶるっと震えた。
「恵ちゃん、おしっこ漏らしたんじゃない?」
大樹が話すと、
「大樹くんだけには言われたくないわよ」
皆で笑いながらハウスに入る。
50坪くらいの大きさだろうか。栽培しているカーネーションのハウスとは全く趣が違う。まず目に飛び込むのは花弁のない子房の元につけられた、たくさんの小さなラベル。どれも数字が書いてある。
次に、生産用ハウスでも見られないような不思議な花色、花模様の素材。また、普通の花屋さんで見られるような素材もある。大げさではなく、百以上もある花色、花色パターンの花が咲いている。
僕はおじさんに尋ねる。
「ここには色々な種類の花色のカーネーションがありますね」
「普通の花屋で見かけるピンク、赤などもあるし」
「そう、ここには150種類くらいの育種素材を植えてあるんだ」
「普通色のカーネーションも、生産性が高いとか、病気に強いとか、交配親として優れているという特徴のものは置いてある」
「各々、12株から30株くらい植えてある。花粉の出やすい、出にくいものがあるからね」
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