第1章

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僕がこの場を仕切る。 「オレンジ色は2種類だけ、単色で濃いのと薄いの」 「黄色は6種類」 「黄色は……」 「ごく薄い黄色、ちょっと薄い黄色、薄い黄色、普通の黄色、ちょっと濃い黄色、とても濃い黄色」 「何、これ? 連続した濃淡の差があるじゃない」 「黄色って、濃い、薄いの二つだけじゃない」 有田先生が興味深げに見つめ話す。 「そうですね。研究室に帰ったらこれら黄色花のカラーチャートの番号を調べて控えておきましょう」 「ここでは、まず黄色には6種類の濃淡の差が見られた、ということですね」 「でも、もっと大きめにくくると、ごく薄い、普通、濃いの3種類の黄色に集約できそうな感じも持ちます」 有田先生が、あらためて大きく3つの集団にそれぞれの黄色花を集め、僕らに見せた。 皆でなるほどと頷く。 「これは黄色を呈するためのCHI遺伝子がやはり鍵になるね」 義雄が推理を始める。 「黄色色素になるための基質、すなわち材料となるカルコンの量が違うのか。あるいはCHI遺伝子の壊れ方が違うのか」 「いずれにせよ、CHI遺伝子の発現を、遺伝子レベルで調べる必要があるね」     
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