第4章

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「オクターブ上は8va、オクターブ下はbassoの指示」 「とにかく、ホルンの譜面。何でもありだよ」 「そんな譜面を一瞬に頭で読み替えて演奏しているんですか?」 「そうだよ」 「正先輩がとちるのも頷けます」 「それは別問題。ホルンで、演奏を失敗する要因は、その菅の長さや、倍音の多さにあるんだ。マウスピースも小さいしね」 「でんでん虫みたいなぐるぐる管がくねっているホルン。難しそうですもんね」 「ホルンの管は、最長で約3.6mの長さになるんだ」 「ギネスブックにも、一番難しい楽器と掲載されている」 「何故難しいかは、管の長さが大きく関係しているんだ」 「簡単に言えば、管が長いのに高音域を吹かされるから。そして倍音が多いから」 「マウスピースとベルの径の比率が一番大きいのも、ホルンの演奏を難しくしている要因の一つ」 「ホルンのマウスピースの直径は、2cmに足らない程度の大きさなのに、ベルの大きさは30cm以上あるので、音が響くベルでは15倍以上になると言う事になる」 「トランペットより小さな径のマウスピースで、チューバに匹敵するほどのベルの径を持つ」 「だから、音域もものすごく広い」 こずえちゃんが頷く。 「演奏の難しい楽器であるのに加えて、さっきの調の話」     
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