第4章

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こずえちゃんの説明はツアーガイドさん並みだ。暗記力がすごい。脱帽する。 教育学部に必要な、人に物事を丁寧に分かりやすく伝える素養。満たしている。 「眠り猫の先には、家康公の墓の上に立つ宝塔があります。真横と真後ろが、特にパワーが強いらしいです」 「隣には、願いが叶うといわれている叶杉のほこらがあります」 東照宮の正門を出て右手にある石灯籠が続く参道。今日で3日連続だ。 道の先には二荒山神社。 「二荒山神社、強いパワースポットです」 「パワーのある2つの神社を繋ぐ上新道、とても強いパワーが集まっています」 「私には分かります。ものすごく強いです」 確かに歩いていると、不思議、強い霊気をこの三日通じて感じられる。 「さて、夫婦杉です」 「正先輩。縁結びの神です。おみくじ結びましょう」 「ああ、僕、恵ちゃんと結んだから」 「どこですか?」 「右の下から2番目の一番はじっこ」 「これですね。まず外します」 「おいおい! 勘弁してよ」 「そして、私たちのこれをつけます」 「だ・か・ら、外すのは勘弁して」 「分かりました。その意見はのみます」 「隣に結びます」 「御神木に一緒にそっと触れましょう」 僕は仕方ない、言う通りにする。 「これで恋人との良好な関係を築けるパワーを授かりました。恵先輩との上をいきました」     
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