第4章

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恵ちゃんとは、久しくスキンシップをしていない。 今日は、論文打ち合わせで、箱入り娘さんも帰りが遅いことを承知していると思う。 今晩は、食事込みで恵ちゃんとデートしたい。 「こずえちゃん、今度にしよう」 「こずえちゃんとのデート、ちゃんと時間とるよ。約束する」 「今度とお化けは出たためしがありません」 「お化けを見せてくれたら、納得します」 「まあまあ、こずえちゃん。正の状況も分かってあげなよ」 隆が助け舟を出してくれる。 「わかりました。ただ、もう少しだけ植物園にいましょう」 「正先輩は歩く植物図鑑。何でもかんでも聞きまくります!」 こずえちゃんは、少しムキになっている。 「こずえちゃん。武者小路実篤の言葉知ってる?」 「天与の花を咲かす喜び 共に咲く喜び 人見るもよし 人見ざるもよし 我は咲くなり」 「天から与えられた自分自身を咲かせる喜び、他者と共に咲く喜び、そして、人が自分を見ていても、見ていなくても構わない、私は私として咲きます。そういう意味だよ」 「花はね、自分が花であることを花として一生懸命咲いてるんだ」 「そういう気持ちで、こずえちゃんが気に入った花を僕に質問してみて」 こずえちゃんはしおらしくなる。 「正先輩のいう意味がわかりました」     
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