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恵ちゃんとは、久しくスキンシップをしていない。
今日は、論文打ち合わせで、箱入り娘さんも帰りが遅いことを承知していると思う。
今晩は、食事込みで恵ちゃんとデートしたい。
「こずえちゃん、今度にしよう」
「こずえちゃんとのデート、ちゃんと時間とるよ。約束する」
「今度とお化けは出たためしがありません」
「お化けを見せてくれたら、納得します」
「まあまあ、こずえちゃん。正の状況も分かってあげなよ」
隆が助け舟を出してくれる。
「わかりました。ただ、もう少しだけ植物園にいましょう」
「正先輩は歩く植物図鑑。何でもかんでも聞きまくります!」
こずえちゃんは、少しムキになっている。
「こずえちゃん。武者小路実篤の言葉知ってる?」
「天与の花を咲かす喜び 共に咲く喜び 人見るもよし 人見ざるもよし 我は咲くなり」
「天から与えられた自分自身を咲かせる喜び、他者と共に咲く喜び、そして、人が自分を見ていても、見ていなくても構わない、私は私として咲きます。そういう意味だよ」
「花はね、自分が花であることを花として一生懸命咲いてるんだ」
「そういう気持ちで、こずえちゃんが気に入った花を僕に質問してみて」
こずえちゃんはしおらしくなる。
「正先輩のいう意味がわかりました」
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