第4章

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僕は顔を恵ちゃんの濡れた髪に埋めた。 香水とシャンプーの入り混じった空気だけの呼吸。 沈黙の時。 そして、耐えられない……。 僕はジーンズのチャックを開けた。 恵ちゃんは、手で愛撫してくれた。 さざなみの音が、遠のいて聞こえる……。 「恵ちゃん。いいかな?」 僕は耳元で囁いた。 「何?」 「うん……、あの、出したくて……」 「正先輩。何ぼーっとしてるんですか」 「BGM何にしましょう?」 「永遠、と言う言葉がある曲がいいな」 「永遠……、意外にクラシック音楽の中ではその表題、すぐに思い浮かびませんね」 「あって良さげなのに……」 こずえちゃんは眉をしかめる。 「マーラーの大地の歌。第6楽章の告別の最後は、永遠に、永遠に、を繰り返すよ」 「それにしましょう!」 「大地の歌の歌詞は李白らによる唐詩に基づいているんだ」 「この曲から聴き取れる東洋的な無常観、厭世観、別離の気分が何とも言えない」 隆が簡単に曲の解説をする。 「じゃあ、入れるね。大地の歌」
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