第5章

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「こずえちゃんからLINEがあったけど、正たちの行った中華料理屋の料理、本当に美味しそうだな」 「このお土産の味で、よーくわかる」 「行きたいわね、またいつか」 恵ちゃんは食通。そして、自分でその味を真似て料理を作るのが趣味の一つ。 「まあまあ、論文の最終チェックの準備しよう。6時開始だよね」 「うん。教授も正がいて安心すると思うよ」 「準備はできたか」 教授が有田先生と共に、珍しく穏やかに研究室に入ってきた。 「はいっ!」 皆で軍隊のように声を合わせる。 「それじゃあ、黄色花の論文の方から読み合わせを進める」 「質疑があれば、その場その場でするように」 Abstract、Material and Method、Result、そしてIntroduction、Discussionの順に皆で黙読し、論文のチェックを進める。 「やはり、正の言う通り、黄色花の濃淡の単語は、明るさの度合いをイメージさせるtoneではなくて濃度を意味するdensityの方がいいな」 教授が皆に提案する。 教授には逆らえるわけがない。異議なし。皆で賛同。 「よく出来ている」 珍しく、教授から褒め言葉が出る。 黄色花の論文チェックを終え、少し休憩。 時計も7時を少し回ったところ。 「教授。日光の湯葉カツとニラ団子があるのですがいかがですか?」     
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