第5章

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隆が知恵入れしてくれたところだ。 「黄色色素と、赤色のペラルゴニジン3マリルグルコシドの組み合わせだけではなく、黄色色素と、紫色素シアニジン3、5ジグルコシド、鮮ピンク色素のペラルゴニジン3、5ジグルコシド、暗赤色素シアニジン3マリルグルコシドと共存する花色の存在も示唆される」 「日本語訳で、この部分を抜いたらどうかと思いまして……」 「ここは、正、お前が追記したところだぞ」 「はい。でも、黄色色素と、赤色のペラルゴニジン3マリルグルコシドの共存でオレンジ色を説明したNoteで、残りの三つのオレンジ色? の存在まで、あえて触れなくて良いし、もしかすると遺伝子の発現機構で、残りの三つの中間色は存在しないかもしれません」 「皆んな、どう思う?」 沈黙が訪れる。 「わかった。ここは削ろう」 教授がチェックを入れる。 時計の針は8時を回った。 「さて、論文の最終打ち合わせを終わろう。皆んな良く頑張った」 「後は7月末締め切りの、秋の学会のプレゼン作りだな」 「構成は、以前話した通り3報に分ける」 「共通の表題は、カーネーションの花色に関する基礎的研究」     
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