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第113話
「論文の打ち上げは、今月末の正の誕生日にしようか?」
義雄が話を切り出す。
「でも誕生日。恵ちゃんと二人っきりでいいことしたいんじゃない? 正」
「ぜーんぜん。私たち、いつでも……」
恵ちゃんが大胆な発言を言いかけて止める。
言った言葉は取り戻せない。恵ちゃんは顔を赤らめる。
「じゃあ、決まりだね。打ち上げは正の誕生日」
「日光は?」
「それが問題だ。梅雨明けにしよう」
「何となく、サンサンと輝く日の光の下の方が、ジメジメした空と気分の下よりいい」
「教授の心もsun、sunとお日様のように晴れるはずだ」
大樹がダジャレを交え呟く。
「散々と酷いことにならなければいいけど」
「恵ちゃん、そんな縁起の悪いこと言わないでよ」
大樹はソワソワして話す。
「急ぐ必要はないんだから、学会のプレゼンがおおよそ出来てからにしよう」
「7月中下頃かな?」
「それなら、僕も行くよ」
「正が一緒ならものすごく助かる!」
「ウバユリ、ヤマユリの見所の時期だね」
「じゃあ、7月20日。この日にしておいて、教授の都合に合わせ日程を調整すればいい」
「大樹、頼むよ」
「ああ」
「ほら、決まった。思い立ったらすぐ決めなきゃ」
時計の針は8時半過ぎ。
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