第5章

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「イノシシは失礼だよ。精々、ウルフのような、くらいのレベルに上げて」 「こずえちゃんに聞いた?」 「ああ。こずえちゃん、教授様が来るなら植物園の正はいらないって」 「なんて現金な子だ。ただ、植物園の、に限定している返事はクエスチョンだな」 「どうしよう……」 大樹が頭をかかえる。 「簡単だよ。食事と植物園の時間だけ、研究室の連中とオケのメンバーと予定を合わせて、それ以外の観光は別々に行動する」 「そうか! そうするか」 「ああ。いいかい、僕は抜いといてね」 「約束だよ」 「そう、恵ちゃんはどうしよう?」 「恵ちゃんは連れて行ってあげて。美味しい料理、食べて来て欲しいから」 「うん? 私がどうしたって?」 「ああ、恵ちゃん」 「日光行き、来週の水曜日になりそうだよ」 「あら、そんなに早く?」 「色々あって……」 大樹はまだ決め切れない。 「正くんは?」 「僕は行かない」 「じゃあ、私も行かない」 「何、何? 俺と義雄だけ?」 「そういうことになるかな」 「でも、歩ちゃんやみどりちゃんを誘えばいい」 「教授だよ。教授付きだよ、イノシシだよ」 「なんだ、お前たち。暇してるのか?」 教授が突然研究室に入って来る。 「大樹。来週、いつでも大丈夫からな」 一言残し、すぐに去って行く。     
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