第5章

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「ああ、塾と家庭教師で月10万、その他単発バイトは一回1万くらい」 「月に15ー16万円は稼いでた」 「今、正直きついよ。貯金を崩して生活している」 「正、学費は?」 「タダだよ」 「えっ? そうなの?」 恵ちゃんが驚く。体を反らし、リアクションも大きい。 「うちの父親が丁度高校二年の時、体調を壊して職を失ったんだ」 「そのあと、軽労働は始めたんだけど年収が低くて」 「高校の先生から、家庭が低収入なら、入試や入学後の成績が上位1/3 以上にいれば授業料が免除される可能性があると聞いたんだ」 「その通りだった。事務室に毎年申請に行く手間はあるけど」 「そうなんだ。初めて聞いたわ」 恵ちゃんは不思議顔。 「ということは……、正はタダで大学の高等教育を受けているわけ?」 「そういう事」 「だから、教養もみんなの倍近くとって勉強したし、今も自分なりに勉強頑張ってる」 「無料で最高学府で勉強させていただける嬉しさからかな? 神様のおかげだよ」 「じゃあ、バイトのお金は家賃や生活費?」 「もちろん。だけどサークルや友達付き合いでかなり減る」 「今は3年間で貯めたお金で生活してる」 「そうそう、パン工場の夜勤とか大変だって聞くけど」 恵ちゃんの友達も行ったことがあるらしい。     
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