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「ああ、塾と家庭教師で月10万、その他単発バイトは一回1万くらい」
「月に15ー16万円は稼いでた」
「今、正直きついよ。貯金を崩して生活している」
「正、学費は?」
「タダだよ」
「えっ? そうなの?」
恵ちゃんが驚く。体を反らし、リアクションも大きい。
「うちの父親が丁度高校二年の時、体調を壊して職を失ったんだ」
「そのあと、軽労働は始めたんだけど年収が低くて」
「高校の先生から、家庭が低収入なら、入試や入学後の成績が上位1/3 以上にいれば授業料が免除される可能性があると聞いたんだ」
「その通りだった。事務室に毎年申請に行く手間はあるけど」
「そうなんだ。初めて聞いたわ」
恵ちゃんは不思議顔。
「ということは……、正はタダで大学の高等教育を受けているわけ?」
「そういう事」
「だから、教養もみんなの倍近くとって勉強したし、今も自分なりに勉強頑張ってる」
「無料で最高学府で勉強させていただける嬉しさからかな? 神様のおかげだよ」
「じゃあ、バイトのお金は家賃や生活費?」
「もちろん。だけどサークルや友達付き合いでかなり減る」
「今は3年間で貯めたお金で生活してる」
「そうそう、パン工場の夜勤とか大変だって聞くけど」
恵ちゃんの友達も行ったことがあるらしい。
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