第5章

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歩ちゃんとLINEのやりとり。 義雄もみどりちゃんに。 「歩ちゃんは7時くらいなら合流できるって」 「みどりちゃんはいつでもOK」 「決まりだね」 僕は一応、いつも空いてはいるが、ジャルダンに予約を入れておく。 1組だけ、宴会の予定があるらしい。 思いったったらすぐ実行。 「三つのオレンジ色のカップルだね」 「楽しく飲もう」 「おいおい、まだ俺は歩ちゃんに指一本触れてないよ」 「俺もみどりちゃんの、心の内はまだ知らない」 「ずるいぞ、正だけ。恵ちゃんと……、心底いい仲なんだろ」 「正くん。私に夢中なの」 おいおい。その時、素敵に乱れるのはどっちだ? 僕は、口にはもちろん出さず、視線を恵ちゃんに送る。 「皆んな、どうかしたの?」 廊下を歩いていて、ワイワイ騒いでいる僕たちの声を聞きつけたらしい。 有田先生が、いつもの人差し指でこめかみをいじりながらやってくる。 「先生! 2’GT、二つ取れました」 「そう。それは良かった。またすぐに論文だね」 「教授は知ってる?」 「いいえ。まだ連絡してません」 「きっと喜ぶよ。皆んな、すごいね」 「皆んな、すごいね!」 「えっ! なぜこずえちゃん、ここに居るの?」 「昼食後の散歩で、農学部の農場を散歩させていただきました」     
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