第5章

23/96
前へ
/691ページ
次へ
『私たち、先輩と交配の関係です』 『折箱に、しやすい私を包んでお持ち帰りしてもらいます』 「大嘘」 僕は呆れて呟く。 「あら、こんな風に書かれてたんだ」 「これは皆、面白がるねっ」 恵ちゃんはニッコニコ顔。 「何もしなくてもこずえちゃんの存在自体がギャグなんだ」 「なのにあの話し言葉、書き言葉にも大きな嘘とギャグがある」 「たぐいまれなる大物ね」 「何で僕のこと、好いてくれるんだろう?」 「恵ちゃん。今、僕のどこが好き?」 「えっ、いきなり?」 「うん。何でもいい」 「私が3年間見て来た正くんは、真面目で素直。どちらかというと、笑顔はあまり見なかった。ポーカーフェイスだったよね」 「あまりお笑いで押すタイプじゃない」 「そこが、チャラ男系と違ってる」 「落ち着いた心、正しい素行。それがイイ」 「そうでしょ?」 「でも、最近僕は変化したよ。よく笑うようになったんだ」 「もちろん、自然な笑顔は恵ちゃんのおかげ」 「好きだよ」 恵ちゃんは、クスッと笑ってくれる。 「そしてたぐいまれなる大物の登場」 「あの子、下手な芸人より全然面白い。存在もキャラも」 「胸がつかえるところの奥底から、無意識な笑いが沸き起こる」 「腺毛が震えるように」 「そして、時に止まらない」     
/691ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加