第5章

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「私もそう思う。初めて会った。こずえちゃんのような子」 恵ちゃんが笑いの口を手で押さえて話す。 「今回も、そう」 『この梅雨は、すごいしやすい気候です』 『先輩と交配の関係です』 「どこから、ああいう言葉、出てくるの?」 「どうして僕を好きなんだか……」 「まあ、いいじゃない」 「一過性の劇症恋愛症候群よ」 「今夜も私は正くんのものよ。お察し通り」 「うん。ありがとう」 「ただ、押して押して押し切られないようにね。こずえちゃんに」 「男の人って、それでなびく人もいるみたいだから」 「正くんのような真面目なタイプがあぶないのよ」 「抱きつかれて、口づけされて、感じるところを愛撫されると、心ごと止まらない場合があるらしいの」 「少しでも嫌悪感があれば、すぐ拒否れるけど、どこかに”この子もいいかな?” と思う心があるとズルズルしちゃうの」 「正くん、こずえちゃんのこと嫌いじゃないから危ない危ない」 「18歳の指が吸い付くモチ肌のピチピチギャルだし」 「ギャルはずみな行動は慎むように」 僕は笑う。恵ちゃんも誰かさんに影響されてる。 「報われぬ愛を予感させるの」 「大丈夫」……」 「私がいるから」
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