第5章

25/96
前へ
/691ページ
次へ
第118話 「おい、義雄」 「はいっ! 教授」 教授が相変わらずの荒い息で研究室に入ってきた。 「2’GTが取れた研究。すぐに論文にしろ。すぐだ」 「ただし、主導はここの研究室じゃない。工学部の生命工学研究室に任せる」 「生命工学の教授に連絡を入れておくから書いてもらえ」 「義雄に書かせたら、いつ完成するかわからない」 「正には負担になる」 「生命工学の実務担当者と事務レベルの打ち合わせを十分にして、研究の流れと重要さを生命工学の教授にしっかり伝えろ」 「分かったな」 「分かりました!」 教授は用件だけ話して、教授室に戻っていく。 教授と入れ替わりに、電子顕微鏡室から大樹が戻ってくる。 「すぐに論文だってよ。義雄」 「ああ」 「大変だな。義雄」 大樹も呟く。 「これからみどりちゃんのところに行ってくるかな……」 「もし、みどりちゃんに時間があるなら呼べば?」 僕が提案する。 「僕や恵ちゃんが話に入れば、生命工学の教授に伝える内容に厚みがつけられると思うけど」 「ああ、LINEで聞いてみるね」 「みどりちゃん。ビール会の前だし、全然大丈夫って」 「じゃあ研究室に呼ぼう」     
/691ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加