第5章

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「大切なのは、どれほど花卉園芸に重要な発見かってことを相手側に知ってもらうことだね」 「生命工学では、あまり重要視されないかもしれないからね」 「そこんとこは僕に任せて」 「ありがとう、正」 「うん。いざとなれば隆もいるし、ことの重要さを伝えるのは訳無いと思うよ」 「じゃあ呼ぶね」 みどりちゃんがやってくる スカイブルーのワンピース。みどりちゃんの少し大人びた顔にベストマッチのコーデ。 「みどりちゃん。可愛いね」 「ありがとうございます」 「あら、正くん。みどりちゃんも?」 恵ちゃんが微笑む。 「いや……、つい口に出てしまって」 大樹がみどりちゃんに声をかける。 「どこのブランド?」 大樹がワンピースのブランド名を知りたがる。 歩ちゃんと色々近づいているからかな? 「あっ、これですか? ノーブラ……、ブランドです」 突然大樹に質問され、どもって答えたみどりちゃん。 自分で言ってしまった言葉が恥ずかしい。 気を取り直し、みどりちゃんはピンクのカトレアの挿してある花瓶に気づく。 「恵さんが育ているカトレアですか」 「そうよ」 「すごい! 綺麗ですね!」 「みどりちゃん。そんな花瓶に反応しなくてもいいわよ」 おいおい。恵ちゃんも。大物の誰かさんに似てきたぞ。 「さあ、始めましょ」     
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