7人が本棚に入れています
本棚に追加
第119話
さて、論文完成の打ち上げパーティーの前に、オケの部室に寄ってみる。
今日は血液型コンパだから、オケのメンバーは楽器を練習している姿ではなく、部室はほぼ待ち合わせ場所になっている。
僕はO型コンパに出られないし、こずえちゃんとの厄介な炎上話も少しトーンを押さえなきゃいけない。
まあ、軽く顔を出しに来た。
こずえちゃんがいる。
たまに僕から声かけしてあげよう。
こずえちゃんの二の腕を人差し指で軽く押す。
「ピンポーン、おとぼけもので?す」
「正先輩。本当のことを言っても全然面白くないですよ」
「でも、ギャグのレベルはまずまずです」
「まあ、今忙しいので不在通知入れといてください」
「どこに?」
「……」
「あら? 今、いやらしいこと考えてたでしょ?」
「僕は……、別に……」
「私に言わせるんですか? 18の乙女に」
「ねえ皆んな、正先輩ってねー、言わせるのよ私に」
バイオリンの女友達同士で、ひそひそヒソヒソ話す。
「あーどうしましょう。どうぞ神様お助けください」
こずえちゃんはオーバーな神頼みのリアクション。
やっぱり、普通に声をかけとくだけでよかった……。
「おう、正」
「おう、隆」
「今日の飲み会。同じ店なんだって」
最初のコメントを投稿しよう!