第5章

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第119話 さて、論文完成の打ち上げパーティーの前に、オケの部室に寄ってみる。 今日は血液型コンパだから、オケのメンバーは楽器を練習している姿ではなく、部室はほぼ待ち合わせ場所になっている。 僕はO型コンパに出られないし、こずえちゃんとの厄介な炎上話も少しトーンを押さえなきゃいけない。 まあ、軽く顔を出しに来た。 こずえちゃんがいる。 たまに僕から声かけしてあげよう。 こずえちゃんの二の腕を人差し指で軽く押す。 「ピンポーン、おとぼけもので?す」 「正先輩。本当のことを言っても全然面白くないですよ」 「でも、ギャグのレベルはまずまずです」 「まあ、今忙しいので不在通知入れといてください」 「どこに?」 「……」 「あら? 今、いやらしいこと考えてたでしょ?」 「僕は……、別に……」 「私に言わせるんですか? 18の乙女に」 「ねえ皆んな、正先輩ってねー、言わせるのよ私に」 バイオリンの女友達同士で、ひそひそヒソヒソ話す。 「あーどうしましょう。どうぞ神様お助けください」 こずえちゃんはオーバーな神頼みのリアクション。 やっぱり、普通に声をかけとくだけでよかった……。 「おう、正」 「おう、隆」 「今日の飲み会。同じ店なんだって」     
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