第5章

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「そんなの奥さんにすぐバレるじゃない。奥さんといつも一緒に厨房にいるんだもの」 「それが、見て見ぬ不倫なんです」 「ちょっと待った。頭を整頓させて」 「見て見ぬ振り。見て見ぬ不倫……」 まあ、いいか。一緒だ。 「まあ、僕たちの園芸学研究室はビール会。教授、助手も交えて」 「お気楽に行くよ。教授のいる時間は大樹と義雄にはプレッシャーになるけど」 「サンドウイッチに、地鶏の唐揚げ、アソートチーズ、サラミ、スモークサーモン、ポテトフライなどなど、お子ちゃまオードブルフルコース」 「ザ・夏鍋! なんて考えもつかなかったよ」 「まあ、同じ穴の狢。正先輩もオケの方にもいらしてください」 「あのさ、どうせ全部の血液型コンパ、二次会で、扇谷に合流するんでしょ」 「当たり前です」 「扇谷の、つみれを突かずして結構ということなかれ」 「なんか、どこかで聞いたセリフだね」 「僕は帰るからね」 「えーえー」 「恵先輩とですか?」 「うん」 「えっ! えー」 こずえちゃんは、がっかりと悔し顔。 「そうそう、私におとぼけものの不在通知が届いてました」 「どこに?」 「扇谷さんに行った後に、正先輩だけにお見せします」     
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