第5章

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「最高です。マスターありがとう」 「さあ、みんな揃ったか」 浅野教授が乾杯の音頭をとる。 「はい、みんな揃いました?」 幹事の義雄が確認する。 「じゃあ諸君。ふとした自然現象の不思議への興味から、今回、このように2報の論文がこの世に出来上がったこと、誠に嬉しく思う」 「誰が主役じゃなく、みんなが主役」 「この、約二ヶ月半という短期間でよく完成させた」 「ありがとう。皆んな。乾杯!」 「乾杯!」 ジョッキを掲げ合う。 あれ? ひと瓶多い? 言うまでもない。 「こずえちゃん。B型コンパの会場はあっち→、座敷の方だよ」 「ここはダメ」 「あーあ。とてもひどいことを言いますね正先輩」 「淋しい、胸が何かで突かれた感じです」 「僕は、胸がこずえちゃんに憑かれた感じだよ」 「ねえ、あとで交わろ……」 「えっ? 交尾ですか?」 「違う違う」 「2次会の扇谷で合流しよう、と言うこと」 「今、ここにこうして同じジャルダンにいると言うのに、遠い存在……」 「淋しいです私」 「あら、こずえちゃん。こっちにいてもいいのよ」 恵ちゃんがこずえちゃんを呼び止める。 「私たちもお祝いだし、いいと思う」 歩ちゃんや、みどりちゃんも歓迎している。 こずえちゃんが嬉しくて少し泣き顔になる。     
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