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第1章
第1話
「三人の中で、私好きなのだーれだ?」
僕を含めて、三人とも手を上げる。
恵ちゃんは微笑む。いつもの冗談のような挨拶。
「よし。お願い聞いてくれそうね」
櫻井恵。おてんば娘。昔の漫画、キャンディキャンディのような雰囲気の子。目がクリクリしていて可愛い。
不思議なのは男っ気が全くないところ。というか、男に興味がない感じ。サークルは植物同好会。とっても花好き。
華奢な体に、今日は白のフリルのワンピース。
癖っ毛と枝毛なことが悩みらしい。時々、朝寝坊した時なんか、後ろ髪が跳ねているまま研究室に来る。でも、そういうところも含めて可愛い。
「ねえねえ、このオレンジ色のカーネーション、とても綺麗でしょ」
恵ちゃんが花屋で見つけたらしい。10本も買ってきた、スタンダード系と言われる大輪咲きのカーネーション。
「うん。綺麗だ」
「まずは花瓶か何かに挿して飾ろう」
僕がそう話すと、恵ちゃんは実験室にある一番大きなフラスコを持ってきた。
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