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「ただいまー。あー疲れた。お風呂入りたい」
「お疲れ様。思ったより遅かったね」
「結構大きくてさ、喰うのに時間かかったねぅ。ついでに野暮用」
「そう。……ちなみに、野暮用はその黒いビニール袋かな?」
「せーかい。ほら、今回の憑物の正体(……)」
「……これは、なんと言うか。君、よく触れたし見つけたね」
「なんか自縛型にプラスして印象的に子供っぽいなーと思ってさ。もしかしてだけどー?と思ったらもしかしてだったねぅ」
「……産まれてすぐ、と言った所かな」
「あそこあんまり人使わないからさ、しかも夏休みだし。いつから放置されてたんだろうね。ご丁寧に便器の蓋、ガムテープまでされてたよ」
「そうか。……ライターと新聞紙取ってきてくれ。準備する」
「子供に優しーよね、八月一日さん。ついでにお父さんとお母さん探してあげようか?」
「それは人間側のする事だよ。憑物側の私達が出しゃばる案件ではないさ」
「そう言って本心はー?」
「見つけて説教したい」
「あっはっは!素直!っと、ライターは俺のあるし新聞紙は……これでいいか。先週の朝刊」
「……もしかしたらその記事の子かもね」
「ん?……中学生に猥褻行為、中学講師捕まる。近所だし時期的にもぴったり。うーわー」
「最期にお父さんにも赤ん坊の顔見させてあげようね」
「ギャハハ!八月一日さん違ってたらどうすんのんふふふふふ!」
「違ったとしても血の繋がりと言うのは一番強い縁になるのさ。ちゃんと本当のお父さんの夢枕に立つだろう。そら、この中に入れてくれ」
「はーい」
「こういう時庭が欲しくなるね。店先でやるとさすがに騒ぎになるし……」
「夜中だから問題ないねぅー」
「それもそうだね。じゃ、早速始めようか」
───次は、ちゃんと産まれてこれますように。
八月一日の祝詞と共に煙は明るくなり始めた空へと登っていっていった。
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