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「まぁまぁ、お買い得な二百円だしさ、買ってみるねぅ。元気になるねぅー」
胡散臭いショップチャンネルの笑顔を貼り付けた二人がユーキを囲む。あ、これは逃げられないと悟ったユーキは渋々二百円を差し出した。まいどぉと龍真がレジを打つ。
「……これ本当に効くの?」
「効くと思ったら効くんじゃないかな?病は気からとよく言うだろう」
飄々とした態度を取り続ける八月一日にじっとりとした目線を向けてユーキは飴を頬張った。八月一日はクスリ、と笑みをこぼす。
「ほら、そろそろプールが解放される時間だろう?体育館前のトイレの前を通っても怖くないようなおまじない龍真が教えてくれるそうだから行っておいで」
「はーい」「もうそんな時間かー」「おまじない教えてー」「アイスもいっぽん買うー」
切り替えが早いのは子供ならではなのか。さっきまで怖がって騒いでいた声が楽しげな騒ぎ声に変わる。龍真は学校へ向かう支度を始める子供たちを眺めた。入口付近で立っていれば、こちらへとおまじないを教えてもらおうと子供達がワラワラ集まる。
「んー?おまじないー?そうだな……」
「───しりとりでもして通ればいいと思うよ」
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