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  俯きがちだった自分が顔を上げられたのは七生が居てくれたからだ。 どう言う訳だか七生は俺の顔がものすごーく好きらしく、たくさん見せてあげたかった。それに俺も七生の優しい垂れ目と笑窪が大好きだから、顔を上げてたくさん見ていたかった。 成長するにつれ薄くなって行く笑窪を残念な思いで観察しながら、そのモチモチした頬っぺたにかぶりつきたいといつも思っていた。猟奇的で危ない十代だった。 そして四半世紀生きた今も、せっかく目の前にあるモチモチに触れる事も出来ない訳だが。 今日別れるか、明日別れるかと待って待って、仕事の忙しさも手伝って一年も空けて訪ねたのにまだ続いていた……… 学生の頃からかれこれ何年だ。七生は由貴(よしき)くんと相も変わらずイチャイチャしてやがる。 幸せならいいやと思うのに、いつまでも昔の思い出に縋って独占したくなるのは俺の悪い癖だ。自覚はある。
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