1 

5/20
前へ
/103ページ
次へ
  育ちがいいならどこぞのお嬢様と政略結婚とか後継問題とかで引き裂かれろと思っていたら五男坊だった。金持ち子沢山だった。 非の打ち所がない恋人に愛でられ、どんどん垢抜けて行く七生を見ていたら悲しくなった。自棄にもなった。でも七生はいつも俺に優しくて。いつも嫌な顔ひとつせず受け容れてくれて。 たまには俺のせいで困ったり焦ったりすればいいのにと思う。俺は十代の頃からちっとも成長出来てない。 一年ぶりに顔を見て。 数年ぶりにひとつ屋根の下で寝食を共にして。 たとえ抱きしめて眠れなくても、他の奴のものでも、俺は七生が大好きだよ。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

194人が本棚に入れています
本棚に追加