龍狩り

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龍狩り

神の眷属 人が大地に蔓延るまで 空と 地と 水と 風は龍の物だった。 太陽を隠す程の巨翼を羽ばたかせ天を支配し 大木の如き足で大地に有り 水底にありて泉を守護し 木々と共に悠久の時を生き 風と共に命の歌を歌う。 人と神と龍 自然の理の中でこの3つは渾然一体となり歴史を紡いで来た。 しかし時が流れその均衡は脆くも崩れ去る。 龍は荒ぶり 人里や神の社を襲い 人は神や龍への畏敬を忘れ傍若無人に繁殖し大地を支配した。 神は愚かな人と龍を見限り天から降りてこなくなった。 その混沌の中で1つの一族が世に生まれる。 その異形から人からは忌み嫌われ その生い立ちから神の祝福は受けられず その宿命により龍と終わりなき戦いに身を投じる。 血に流れる呪いを断ち切る為に 人として生きる為に 何代にも渡って 長い長い年月 龍を狩る。 その一族の名は猟龍弩(カリュウド) 龍を追い 龍を狩猟し 龍を糧とし 龍によって死ぬ呪われた一族。
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