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依田ちゃん辺りだと女の子だからと言う、遠慮も会釈もない。男友達とじゃれてるようなもんだ。
「えっと、じゃあ、とりあえず突っ込めばいいのかな」
「そうです。さっきのパスから何か返してください」
いや、こんなに間空いちゃったし、ぐだぐだだし、なんて突っ込めばいいんだ。
「温泉とか出てそうだよね…」
九王沢さんはシェイクスピア悲劇のヒロインみたいな顔をした。やっぱだめだよ。
「…やはり、わたし程度の実力では無理なのでしょうか。まだわたしごときでは、依田さんみたいに那智さんの感性を余すところなく引き出せないのでしょうか。今のわたしに、足りないものって何なんでしょうか…」
九王沢さんは切なそうに綺麗すぎる顔を歪める。いや、それそんな悩むこと?
「でもわたし、がんばりたいんです。今日はそう思って来ました…」
「そう思って来ちゃったんだ…」
本当にこれデートなのか?
「わたし、どうしても諦めたくないんです。那智さんにもっと突っ込んでほしいんです。…那智さん、依田さんとあんなにしてるのに、わたしとは出来ないんですか?」
「いやそれは…」
そんな切ない目で見ないで。勘違いしちゃうじゃないか。
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