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九王沢さんはそこで、ある意味こっちの期待通りの超反応をみせた。いや、あんたが自分で欲しいもん頼まなきゃ誰が頼むんだ。むしろ何の疑問もないが。
「食べたい物、なさそう?」
メニューのパンフを見ながら、僕がそう尋ねると、九王沢さんは欧米のアニメのキャラみたいにぶんぶん、水平に首を振った。
「なっ、何を言ってるんですか!ここっ…わたしの食べたい物ばかりです!一度でいいから自分でっ、頼んでみたいものばっかりでっ!ほらこれっ見て下さいっ(メニューのパンフを見せる)、この、季節の野菜をあしらった彩りカレーライスとかっ、とろふわ半熟デミハヤシオムライスとかガーリックローストとイタリアントマトが香る大人のパスタとか…あっ、あと、このスペシャルプリンアラモードも日替わりケーキの盛り合わせも!」
「全部頼む気ですか?」
「はいっ、やはり実物を見なくては、経験になりませんから!大丈夫、費用は、那智さんの分も含めて、全額わたしが負担します」
「いっ、いや僕もちょっとずつ食べたいから。相談して割り勘にしましょうよ…」
決然たる九王沢さんに僕は恐る恐る言った。思わず敬語だ。こうなると宇宙人のレベルだ。普段、一体どんなもん食ってどんな生活をしているんだろう。そう思っていると彼女は僕をきっと睨んで言い放った。
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