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それでもウェインに対する視線は変わらない。本人はあの通り素直すぎる性格で、懐に入った者を警戒しない。好意の裏を読まず、言葉を素直に受け取る。側にいると、ヒヤヒヤする。
この頃、俺は自分の感情に気付きながらも悟られないように必死だった。受け入れてもらえるなんて、微塵も思っていなかった。
先輩に無理矢理されて涙を流していた顔を思い出すと、男を受け入れるとは思えない。
いや、案外押せば転がったのかもしれない。押しに弱い部分があるのは知っていた。そして俺は、他人を上手く転がす事がそれなりに出来た。
でもそれは、したくなかった。
体が欲しいわけじゃない。俺は丸ごと、ウェインという存在が欲しかった。屈託なく笑い、威勢良く怒って、そのくせ泣き虫で寂しがり屋で、無鉄砲で危なっかしい。
そういうものを全部、俺だけのものにしたかった。
「可愛いって言うな!」と怒っても、ほんの少し照れる事がある。あいつは柔らかく手触りのいい物がとにかく好きだ。部屋の大半がそんなものだ。
動物パジャマを誕生日に贈ったときも照れて真っ赤になりながら怒ったが、今でも愛用している。ウサギ、ネコ、イヌ、クマ。こいつが着ると本当に小動物だ。
脱がせるまでを楽しみたくて選んだなんて言えば、また真っ赤になって「ばか!」と叫ぶだろうか?
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