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涙は、もう枯れたようだ。
ひとしきり泣き、泣き疲れて眠った後に目覚めた朝に残っていたのは、喪失感と、ほんの僅かの開放感。
失ったものを埋めるかのように、湧き上がったのは小さな憤り。
ふつ、ふつと湧き上がるその感情が、居ても立っても居られない程に膨れ上がるまでそう時間はかからなかった。
意を決して立ち上がり、勢いよく冷凍庫の扉を開けて保冷剤を取り出す。
腫れを取ろうと熱を帯びたまぶたにそれを押し当てると、頭も次第に冷静になっていく気がした。
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