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「オカルト部…」
「そだよ、知らないの。最近その手の話題でもちきりじゃん!」
俺は小首を傾げ返して、山本さんを見る。小柄で、朗らかで、今日も変わらずかわいらしい。
俺の反応の鈍さに、山本さんは嬉しそうに身を乗り出してくる。
「やっぱ、知らないんでしょ。もう、この話知らないの佐伯くんくらいだよ! 誰かに話したかったんだけどさ、みんな知ってるじゃん。驚いてほしいのに、つまらないじゃん!」
きらきらとした目で、俺を見る。惚れそうになるから、やめて。
「なになに、佐伯くん、知らないの『けたけた』」
「ちょっと、私が話すんだから!」
集まってきた2、3人に山本さんが唇を尖らせる。
「佐伯、こういうの強そうなのに!」
「強そうってなにが」
「なんかさ、ほら、髪型とかマッシュじゃん」
「わかる、ウケル」
「わかんねえわ」
「もう、ちょっと、休み時間終わっちゃうじゃん!」
しっしとギャラリーを追い払う仕草で手を振って、山本さんは改めて、俺を上目に見据えた。
「あのね、今、流行ってるの。『けたけた』の噂」
「おう」
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