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やっぱり、今回の『けたけた』の騒ぎは、俺が元凶なんだろうか。俺は、この先、どうしたらいい。ひとり、閉じこもって、息を殺して暮らせば、いいのか。周りにぐるりと壁を巡らせて、何も見えないようにして。落ち着かず、分厚く眼前を塞ぐ前髪を引っ張った。
「まあ、だから井上がお前を推薦してきたんだけどな」
「え?」
「お気に入りなんだと。いろんな意味で無自覚だから、あらゆる意味で写真部に欠かせないって、鼻息荒くしてたぞ。諦めろ」
「は?」
「あいつはしつこい」
先生が何を思い出したのか、顔をしかめる。
今、俺は、褒められたのか? 複雑な思いで顔を上げると、眉尻を下げた複雑な表情で、犬飼先生が肩を竦めた。
「ちゃんとコントロールできれば、その力は、役に立つ」
「本当ですか」
「ま、何年かかるか分からんがな。それに、あまり勧められない」
「どうして」
「危ないから、だ」
当り前だろ、と先生は息を吐き出す。
そうして、この話はもうおしまいだ、と手を振った。
「なあ、佐伯、ところでさっき、お前。ファストフード店で騒いでた奴らが3人だった、っていったな。男1人に、女2人、か」
「はい。でも、先生。他の人たちは、女子生徒は、1人しかいなかったって」
「そうだな。倒れていたのは、男女1人ずつだ」
確かに、3人、いたはずなのに。どうして人によって、証言が食い違うのだろう。
「それ、こいつらか?」
先生が、ひらりと1枚の写真を取り出す。
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