犬飼先生は語る

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 男子1人と、ぴったりとくっついた女子2人。1人の顔はピントがずれてはっきりとは見えないが睨むようにカメラの方を向いていて、もう片方の子に、とてもよく似ている気がする。 「そうです。この3人」 「実際に、3人一緒にいるところを見たのか」 「はい…先生、この写真」 「井上が撮った」  あの時、カメラを持っていたのは、この子たちを撮るためだったのか。それとも、居合わせたのは、偶然か。 「先生、確かに、あの日、3人いたんです」 「そうか。わかった、なら、いい」 「え?」 「今日はもう、いいぞ。お前のしょってた荷物を取るつもりで呼んだんだが、井上が綺麗にしちゃったんで、俺はもう、することがないんだ。じゃ、解散」  ひらひらと、犬飼先生が、手を振った。  慌てる俺を、置いて、犬飼先生はさっさと開かずの部屋を出ていく。 「なんだ、ここに残りたいのか? 俺だったら、ごめんだな。夕方は、いろいろ湧いて出る」 「え、ちょ、先生、待って」 「早く行くぞ。先生、スーパー寄って帰りたいんだ。もう冷蔵庫、空っぽでさ」  自炊派なんだ…いや、そうじゃなくて。  こんなに中途で放り出されて、俺はどうしたらいいんですか。  あっという間に扉に施錠して鎖を戻すと、犬飼先生は、すたすたと、廊下の向こうに消えていった。
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