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山本さんが大事そうにクリアファイルから取り出した紙を、俺に差し出す。何やら半分に折られたA3判の紙に、みっちりと文字や写真が見えた。
「これ…」
見出しには『犬飼先生とサバト』と大きなゴシックフォントが踊っている。左隅には『オカルト研究会』の文字。
「オカルト研究会新聞の最新号です! すごいでしょ?」
「う、うん」
あの犬飼先生に喧嘩を売るなんて、俺には考えられないです…。ぶるっと身震いして、俺は紙面に目を走らせる。
『開かずの部屋の内部レポート ついに、I先生の噂の証拠を入手』と題して、開かずの部屋の見取り図と、室内に入ったという生徒の証言が載っている。というか、見出しで名前を出しているのに、こっちで伏字にしてどうするんだ。
内部レポート、とはいうものの、それほど目新しいことは書かれていない。入り口のドアノブに巻かれた鎖の写真と、室内には犬の絵柄のお札が壁一面に貼ってあるという『某生徒』の証言、犬飼先生だけに(せっかく伏字にしたのに、こっちで名前が出てしまっている)、その犬の絵柄のお札でケルベロス的な何かを呼び出しているのだという、荒唐無稽な推論。
なるほど、あの犬のシールをそう結び付けてきましたか、と感心してしまう。
「ね、ね、すごいでしょ! で、こっち読んで!」
山本さんがきゃっきゃとはしゃいでページを捲る。
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