犬飼先生とサバト

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 『我々は、ついに、開かずの部屋でサバトが行われている証拠の品を入手』という小見出しが添えられて、写真が一枚。  どうせ、デジカメかスマホで撮ったのだろうに、わざわざモノクロに加工して載せられていたのは犬の図柄のシール。それも、千切れて首から上だけだ。  俺は開かずの間の内部を思い出す。確か、壁に一枚だけ、破れて半分だけになった犬のシールが残っていた。あれは先生たちが壁を綺麗にしようとしたからじゃなくて、こいつらが無理に剥がして千切れてしまったからだったのか。  まったく、手が込んだ悪戯をするものだ。壁にシールを貼りまくったのも、こいつらなんじゃないのか。  俺は少し鼻白んで先を読み進める。 「ん?」 「お、佐伯さん、喰いつきましたね」  にやにやと、山本さんが俺の肩を小突く。山本さん、こういう話になると少し、小野さんっぽくなる。  俺は少し笑って、次の記事に目を走らせた。  そこには。  『犬の首を引きずって歩く女子生徒のウワサ』との文字。  なんだ、それ。知らないぞ。や、俺が、知らないだけだろうか。学校内では有名な話なのか。     
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