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最初に現れたのは合計五体、斥候という訳か。
男は息を大きく吸い込むと、戦斧の柄を握り締める。ここからは命を懸けた正真正銘の『戦い』。一瞬の油断も、一握の妥協も許されない極限の状況だ。
これが本物の命の遣り取りだ。
『ニンゲン、シネ!』
右方から一体のメロウが雄叫びを上げながら男へ飛び掛かる。右手には研磨された鉈。振り下ろされれば、いくら鎧を纏っているとはいえ無事では済まないだろう。
鋭い刃先が頭に降り掛からんとしたその時、男は動いた。
素早くその場から飛び退くと、刃の軌道から外れる。
『ナッ!?』
驚愕に目を見開いたメロウが地面に降り立ったと同時に彼はその魚類の頭部に戦斧を叩き付けた。
頭蓋骨が粉砕され、脳漿が飛び散り、鮮血が男の纏う鎧に掛かった。それだけでは飽き足らず、男は次の一撃で胴体から頭部を完全に切り離した。
これは彼なりの供養である。メロウが二度と復活しないように、そして胴体の本来の持ち主が安心して成仏出来るように。
回避から頭部切断までの一瞬の出来事。たった数秒で同胞を失ったメロウ達は呆然としていた。
そんな姿を見て、男は低く呻いた。
「………おら、どうした化け物共、もう終わりか」
その挑発でやっと我に帰った化け物達は歯軋りする。
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