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男はメロウが地面でのたまう光景を冷ややかな目で眺めていた。
「背後を取れば、殺せると思ったのか?化け物」
男が倒れた者の胸に容赦無く蹴りを浴びせ続ける。その度にミュータントは声にならない悲鳴を上げる。
「言っておくが……これは俺達、人間からの復讐なんだ。地上から追われた、人間達のな」
『ッ、ァァァァァァァ……!!』
「二度と人間の前に現れるな、魚風情が」
痛みで悶えるメロウの首を、男は戦斧を力の限り振り下ろして切断した。
男は依然断面から血がドクドクと溢れ出す頭部を蹴飛ばすと、兜の隙間からビル群を睨んだ。
「おら、どうした化け物共。仲間が殺されたからって恐れをなしたか?」
男の声はビルの隙間にやけに響いた。
数秒程続いた沈黙。その後に、ある一体のメロウがビルの中から飛び出した。
『ニンゲンメ……コロシテヤルッ!』
それを皮切りに、ゾロゾロと化け物達が姿を現した。殺意の篭った瞳は男に向けられている。
「…この畜生共め」
『ミナノモノ、ドウノウヲウシナッタウラミヲ…ウラミヲ、ハラスノダァ!』
化け物共と戦斧を携えた戦士が今、激突する。
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