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穏やかな日差しが差し込むその部屋で、俺は腹を抱えて呻いている、なんで俺がこんな目に……と思いはしてもそれは容赦なく定期的にやってきて俺を苦しめる。
腹が痛い。
「ツキノ~大丈夫? 薬持ってきたよ?」
俺が丸くなって呻いている部屋にノックと共に入って来たのは赤髪の少年だ。
「ちっ、ノエルか……今日はお前の相手をしてやる余裕はねぇ」
「そんなの見れば分かるよ、悪態吐かないで、ほら薬持ってきたから、飲んで」
「お前がなんでそんなもん持ってくんだよ?」
「遊びに来たら渡されたんだよ、もう睨むなって、俺何か悪い事した?」
俺はやはり腹を抱えて唸り声を零す。別に睨みたい訳じゃないのだが、今は愛想を振り撒く余裕がないのだ、そんな俺の姿を見て、ノエル・カーティスは困ったように苦笑した。
「大変だね、ほら起きられる? とりあえず薬飲んどきなよ、気休めにはなるだろうからさ」
そう言ってノエルは俺の傍らのサイドボードの上に水と薬の乗った盆を置いた。
「毎度毎度大変そうだね、俺ツキノに初めて会ってからもう一年以上経つけどさ、こんな風に仲良くなれるとも思ってなかったし、まさかツキノがこんな事になってるなんて本当あの時は思いもしなかったよね」
言ってノエルは椅子に腰掛け、こちらを見やる。俺がこんなに苦しんでいるってのに居座るつもり満々なのが少しばかり腹立たしい。
「別に仲良くなんかないだろう?」
俺は身体を起してサイドボードに手を伸ばし、薬を掴んで口の中に放り込むと、水で一気に飲み下した。
そんな俺の様子を見ているノエルは「俺達友達じゃないの?」と首を傾げる。
「いつお前と友達になったよ? たまたまこの知らない土地で、たまたま知ってるお前がいたから、たまたまつるんでただけだろう?」
「うっわ、相変わらず辛辣だねぇ、初めてツキノに会った時も今と似たような事言ってたよねぇ、相手、カイトだったけどさ」
そう言ってノエルは俺に怯える事もなく笑みを見せた。怒るでも悲しむでもなく、こいつは笑うので、変な奴だなと俺は思う。
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