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あたしは高校二年生。火星国語と植民惑星史が得意で旧英語と数学が嫌い。家族はお父さんとお母さん、それに弟の利助。そう、あたしたちは火星移民二級市民でレベル43熱核ジェネレータードーム、Cブロック239リム151に住んでた。
あたし三年生になるところだったんだ。
その前に、地球六月のお休みで……なんかすごく大きなことがあって。
落ち着いて、思い出すのよ。うん、頭すっきりしてきた。
【ピッ 脳波変動 異常レベル臨界ニ接近 ピピピ 対応完了】
あれ、急に眠くなってきた。ああ、また頭が働かない。
もう……やたらと眠いくって、ぼーっとする。どうなってるんだろう? それにさっきから聞こえるこの声。どっかで聞いたことあるんだよなぁ。なんだっけ。
うーん、なんか肝心な記憶に手が届きそうで、届かない感じ。もどかしい。
それにしても、学校にいる頃はいろいろあったな。
δハイはみんなあんまり裕福じゃない家庭の子らばっかだったけど……O2税をたくさん払えるドームの子たちみたいに元気に飛び回ることはできなかったけど……。
赤い空の小さな夕陽。家族で一回だけ行った植物園、最高に美味しいO2だっけ。
利助が帰りたくないって泣いてさ。あの子ってば我がままばっかり言って。でも、初めてあの緑を見たら無理もないかも。あたしだって駄々こねなかっただけで、ずっと居たかったもん。
あは、どうでもいい昔のことは思い出せるのにな。
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