終末の週末

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「いつもは二日ほど寝かせて出しているんだが、切らしちまってね。客も来ねえから作る気も起きなくてよ。だからそれは出来たてた。気がつくとは嬢ちゃんはいい舌をしてるな」 「いえ、そんな……」反射的に口に出して、手を左右に振った。 「今日のはどうだ? 上手いかい」 「はい。とっても」 「そりゃ、良かった。なら……」  そこで老人の言葉は止まった。薄く開いた彼の眼と私の視線が交錯する。 なら、二日後はもっと上手いかもな。そんな言葉の続きがあったのだろうか。 「食べな。冷めちまう」  老人は語らなかった。視線を外し、再び目を閉じて椅子に揺られる。  私も何も言わず、黙々とカレーを食べる。八割ほど食べたあたりで、正直おなかいっぱいであったが、無理に口の中へとかき込む。 「ご馳走様でした」  最後の一口を珈琲で流し込み、私はおなかを撫でた。満腹だ。しばらくは動きたくもない。今後の予定は決めてはいないが、もう少しここにいることにしよう。 「よく食べたな」  カウンターに戻った老人は少し驚いたように眼を見開いた。 「美味しかったもので」口元を抑えながら私は答える。あまり言葉を吐きすぎると別のモノも出てきそうだ。 「嬉しいことを言ってくれるね」  老人はお皿を下げて、珈琲のおかわりを用意してくれた。これもサービスだと老人は笑って珈琲を注ぐ。  「これから、予定でもあるのかい?」     
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