終末の週末

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 ええどうぞ。私は彼を家へと上げ、リビングへと通した。彼をイスに座らせ、お茶を置く。「ごめんなさい。何もない家で」対面に私も座った。 「いやお構いなく」彼は一口お茶を含んで喉を鳴らした。「それで、どうでした。この生活」 「不便なことはありましたけど、それなりに」 「それは良かった。でも実際、テレビとかないと退屈しませんでした?」  彼はリビングのやけに開けた空間に目をやった。テレビを置くにはちょうどいいくらいのスペースが何故か開いている。 「そうですね。たまに話についていけないことがありましけれど、退屈は本が埋めてくれましたから」  問題はなかったですかねと続けた。彼は頷き、何やらメモを走らせた。 「それじゃあ、本題なんだけど。いいかな」  彼は立ち上がると、私の頭へと手を当てた。私は抵抗することなく身を任せる。 「ごめんね。ちょっとメモリーを見せてもらうよ。大丈夫、変なところは見ないから」 「はい、お願いします」  私は目を閉じる。額が熱を帯びていく。機械音と彼の驚きの声が耳に届いた。 「そうか、前回の記憶と接触したんだね。それで意識混濁を起こしたみたいだね。でも元に戻っているから」  手の感触が消える。私は目を開けて、彼の姿を見た。彼の髪色と同じ色の瞳は、優し気に揺れている。 「何やら面白い本を読んだみたいだね」     
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