終末の週末

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 体が冷えたのか、大きなクシャミが出た。身震いをして、私は窓を閉めた。今日は冷える。まだ早いと思っていたが、コートを出しておこう。この間まで暑いと思っていたのだが、あっという間に寒くなる。季節の移り目がここ数年は曖昧になってきている気がする。  疑念は解決できないまま、私は身支度をするために、寝室を出た。冷たい廊下をはだしで進み、洗面所へと向かう。  寝癖でボサボサになった長い髪をかき上げ、乱雑にゴムでまとめる。蛇口を捻り、冷水で顔を洗う。  そういえば、お隣の奥さんが美容にはぬるま湯の方がいいと言っていたっけ。顔を拭きながら思い出すが、もう遅い。まあ、今更美容に気を使ったところでしょうがないので、別にいいだろう。ずぼらな性格なので、将来は老化におびえる人生だと思っていたが、まだまだ若いうちに終えれそうだ。そう考えると案外世界が終わるのも良いことかもしれない。 「いやいや」  メディアに向けて発信したら、色々と問題になりそうな思考に首を振って、私は苦笑いを浮かべる。 皆は世界の終わりをどう思っているのだろうか。賛成か反対か。そりゃ、もちろん滅びないことに越したことはないが、奇異な人間はいるもので、賛成意見を堂々と展開している奴らも何%かはいるんじゃないかと考える。 彼らはどうやって今この日々を送っているのだろうか。正しい世界の終わり方なんてものがあるのならばぜひとも教えていただきたい。     
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