終末の週末

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終わり良ければ総てよしという言葉があるが、私の引き際はこれでいいのか。 鏡に映る私に目で問いかけても、何も答えてくれやしない。それどころか、目の下にある隈が気になる始末だ。ここ最近は生活リズムを乱していないはずなのに、中々消えてくれない。 今日はきちんと化粧をしていこう。最後の外出になるかもしれないし。 やりたいことを二つ目ができた。メモは取れないが、実行しよう。愛用の鞄から小さなポーチを取り出し、鏡と向き合った。 結局服装なども気になり始め、外出する頃には時刻は十時を過ぎていた。お気に入りの鞄に黒いノートを入れて、茶色いコートを羽織り、磨いた靴を履いて扉を開ける。ヒールがアスファルトにぶつかって軽快な音を立てた。慣れない足取りで玄関先の階段を下りていく。     
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