後日談(4)

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後日談(4)

【アカリ17歳の3月2日】 自分の中にある、残して来てしまった人達の心配や不安。 でも、私はそれをヴァロンになかなか言えずにいた。 だって、この港街で生活を共にする彼は毎日忙しそうなんだもん。 そんな中、私との結婚式の事も考えてくれてる。 これ以上、彼に負担をかけたくなかった。 「こんな時間に帰って来れるなんて珍しいね」 ヴァロンが脱いだ上着を預かりながら、私は微笑む。 ますますお仕事が忙しいんだろうな。 ここのところいつも、深夜か明け方の帰宅が多い。 「ああ。実はさ、今日15時からここに客が来るんだ。 ……で、アカリにお願い。 お客様の為になんかお菓子作ってくんない?」 「えっ? わ、私の手作りで……いいの?」 予想もしていなかった彼のお願いに、思わず質問返しをしてしまう。 ヴァロンの役に立てるのは嬉しい。 でも、大切なお客様のお茶菓子なんて責任重大だ。 「アカリのお菓子がいいの。 ……って、俺が食べたいんだけど。駄目?」 戸惑う私の頭を撫でながら、ヴァロンは首を傾けて微笑む。
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