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「……ね、ヴァロン。
私はここに居ていいの?」
時刻は間も無く15時。
大切なお仕事のお話。
自分がこの場に居ては邪魔にならないのかと気になる。
その時。
リンリーン!と玄関から呼び鈴が鳴った。
「大丈夫、アカリも知ってる人だから。
……ちょっと待ってて?」
「!……え?」
首を傾げる私にヴァロンはそう言うと、お客様を出迎えに玄関へ行ってしまう。
私も、知ってる人?
誰だろう……?
1人残された居間。
疑問に思いながら、手作りの焼き菓子をお皿に並べていると……。
「ーーどうぞ。あちらにお掛け下さい」
お客様を連れて戻って来たヴァロンが、奥のソファー席をすすめる。
っ……えッ?ーーーッ!!
挨拶しなきゃ、と顔を上げた私は……。
ヴァロンが連れて来たお客様を見て、思わず固まってしまった。
ゆっくりと私のすぐ側を通り、ソファー席に座る客人。
白髪混じりの茶髪に、鼻の下にお洒落な、髭。
それは間違いなく、私の祖父のアルバート様だった。
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