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予期せぬ来客に頭が働かず、ただただ茫然と突如目の前に現れた祖父を見つめる。
「……カリ。
……。……アカリ?」
「!……っ」
いつの間にか私の傍にいたヴァロン。
その呼び掛けにようやくハッと我に返ると、彼は私の肩を抱いてゆっくりとソファーの方へ連れて行き、アルバート様の正面に座らせた。
「私はお茶を淹れてきます。
……ごゆっくり」
ヴァロンはアルバート様に頭を下げると、キッチンの方へ行ってしまう。
何故、こんな展開になったのか。
何故アルバート様がここに居るのか、分からない。
向かい合う、私とアルバート様。
祖父と孫、と言ってもまともに話した事もない。
ましてや、駆け落ち同然の別れ方をした最後。
何を話していいのか分からなくて戸惑っていると、先に口を開いたのはアルバート様だった。
「……よく、似ているな」
「……え?」
「ギルバートに……。本当に、よく似ている。初めてお前を見た時、驚いたよ」
アルバート様はそう言うと、一枚の写真をテーブルに置いて私に見せてくれた。
それは、家族写真。
若いアルバート様と、小さい子供はおそらくお父さん。
そしてお父さんに似た女性は、きっと奥さん。
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